プレゼンテーションzen

 本書は題名通りプレゼンテーションにおける総合的なテキストです(ちなみにzenは禅です)。  公務員の仕事の中でパワーポイントを用いてプレゼンをする機会という機会は少ないかもしれませんが、 対外的な資料を作成する機会はよくあります。  少し話は逸れますが役所時代に国の方にプレゼンをしていただく機会が何度かありましたが、どの省庁の方もパワーポイントの枠びっしりに文字が書かれてあったのに驚いた経験があります。 もちろん意図的にそのような構成にしているのでしょうが良し悪しではなくこのスタイルが伝統なんだろうなと思った記憶があります。 (個人的には聴講時に内容が理解ができない事が多いので復習しやすいあのスタイルは結構好きですが。) 話を戻し、本書は主にパワーポイントによるプレゼンについての述べられていますが、対外的な資料を作成する際にも役立つヒントがたくさんあります。  この本では始めに「プレゼンテーションの各ステップを通じて、筆者が最も留意しているのは「抑制」「シンプル」「自然さ」の3つの方針である」と述べられています。 準備では「抑制」、デザインは「シンプル」、実施では「自然さ」を心がけると。 また余談ですが、前回紹介した「アイデアのつくり方」と同じで、アイデアがひらめくのは仕事から離れた時間であると述べています。おもしろいですよね。  本書は5章で構成されプレゼンテーションのすべての過程を網羅しています。これ1冊でプレゼンテーションにおける強力な武器になることでしょう。また、筆者は日本文化に造詣が深く、 随所に日本の様々な文化の要素を取り入れて説明しています。また、様々な人物のコラムや分析が掲載されており、サイドストーリーが豊富なのもこの本の特徴でしょう。  まず1章では導入として、プレゼンテーションにおけるざっくりとした考え方を抽象的に説明しています。2章では、準備として、アイデアを出すところから説明内容の核となる部分を明確にする必要性 までを説明しています。3章では、作成するパワポのデザインの方法を説明しており、大部分の人がプレゼンの参考書としてイメージする、または知りたいのはこの章ではないでしょうか (実際はこの部分だけ読んでも片手落ちですが、、)。4章では実施として、プレゼンテーション本番の注意点や意識すべき点を述べています。5章は結びとして、これで終わりではなく今後も精進せよ といった内容でです。  本書はプレゼンテーションを「道」まで落とし込んだ内容となっており、何度も学習と実践を繰り返してようやく本質に近づいていくような印象を読了後受けました。 はじめに述べたように公務員はプレゼンテーションの機会は少ないですが、プレゼンテーションの奥深さを感じる1冊になると思います。